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  ミニスカート   60 

「私、あなたに抱かれたい・・・。」

不思議な衝動に駆られた私は、自分が口走った言葉に驚いた。

ヨシアキはハンドルの上の両腕に顎を乗せたまま、黙ってじっとしていた。

あたりは徐々に薄暗くなり、赤く焼けた空は夜の群青に呑まれようとしていた。
ヨシアキの様子が見えにくくなった私は、彼の横顔にじっと目を凝らした。


彼は泣いていた・・・。

身じろぎもせず、息を殺して一人静かに泣いていたのだ。


私は何も言わず、ヨシアキの傍で暫らくじっとしていた。
長い沈黙で彼の悲しみにすっかり包み込まれてしまった私は、一緒に打ちひしがれ身動き出来ずにいた。


結局、ヨシアキはその日何も話さずじまいだった。
ただ、私は底無しの悲しさだけを受け取った。


そしてまた、彼は音信不通になった。


家では遅い私を心配する家族が待っていた。
職場の人達と話し込んで・・ というと、あっさり信じた。


メールを確認したが、当然ヨシアキからの連絡は無かった。

彼は車の中で、それ以上無いくらい悲しく沈んでいた。
私は彼のこれからを案じてメールを送った。


-私は何ひとつ分かってないのかもしれないし、何も出来ないのかもしれない。
 
 あなたと私の人生は平行線のままなのかな・・・。


 でもね、一人で悲しまないで。

 あの桜並木の川べりで、いつでも私はあなたを迎えるから・・・。-



私は一縷の望みをヨシアキに送った。
 


(続く)









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この記事に対するコメント

ヨシアキの悲しみは

なんでしょうか

なんとなくなら

僕にも…

frammento #- | URL | 2011/04/10 06:00 * edit *

frammentoさん・・・

いつも有難うございます。

ヨシアキの心中は、書いている私にもまだよく分かりません。
謎です。(笑)

人には説明出来ない悲しみがあると思います。
そしてそれは、同じ周波数の人間にシンクロします。

Mika♪ #- | URL | 2011/04/10 08:45 * edit *

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