ミニスカート 1
2011/01/15 Sat. 16:39 [「ミニスカート」]
その日の早朝、私のPCにメールが入った。
主人は喘息のため入院しました
お約束していたようですが行けません
ヨシアキの携帯からだった。私は一瞬、訳が分からなかった。
数時間後に彼と落ち合う事になっていたからだ。
新幹線を利用し、遠路会いに来てくれる事になっていた。
奥さんが知った?
それともヨシアキの工作?
頭の中で憶測が駆け巡る。 胸がざわついた。
思えば年末に
ミカ 風邪ひいた とか、
ミカ 熱出た
といったメールの後、年明けまで彼からの連絡が途絶えていた。
てっきり風邪が治って、箱根で家族とのんびりしているのだろうと思っていたのに・・・。
(喘息だったんだ・・・。)
私は急にヨシアキの事が不憫になった。そんな体で、四時間以上かけて私に会いに来るつもりだったのだろうか・・・。
彼に会う事に期待はしていたが、不安もあった。
なぜなら、私はまだヨシアキに一度も会った事が無かったのだから・・・。
(続く)
主人は喘息のため入院しました
お約束していたようですが行けません
ヨシアキの携帯からだった。私は一瞬、訳が分からなかった。
数時間後に彼と落ち合う事になっていたからだ。
新幹線を利用し、遠路会いに来てくれる事になっていた。
奥さんが知った?
それともヨシアキの工作?
頭の中で憶測が駆け巡る。 胸がざわついた。
思えば年末に
ミカ 風邪ひいた とか、
ミカ 熱出た
といったメールの後、年明けまで彼からの連絡が途絶えていた。
てっきり風邪が治って、箱根で家族とのんびりしているのだろうと思っていたのに・・・。
(喘息だったんだ・・・。)
私は急にヨシアキの事が不憫になった。そんな体で、四時間以上かけて私に会いに来るつもりだったのだろうか・・・。
彼に会う事に期待はしていたが、不安もあった。
なぜなら、私はまだヨシアキに一度も会った事が無かったのだから・・・。
(続く)
スポンサーサイト
[edit]
ミニスカート 2
2011/01/17 Mon. 16:04 [「ミニスカート」]
-東京駅で火事があったみたいだけど、大丈夫?-
大丈夫
明日はミニスカート?
その下は?
どんな事してくれる?
-ばかっ-
私はヨシアキとの前夜のメールのやりとりを思い出していた。
-気持ちが無いと、乗らない・・・-
キスする
それが彼の最後の言葉だった。
-自信があるんでしょうけど・・・
キスであなたの心を探るわ-
私のメールにヨシアキからの返信は無かった。
時計の針は午前零時を回っていた。
キスをしたいとヨシアキはよく言っていた。
キスに自信がある、とも・・・。
失神したやつもいる
自慢げな口調に幼さを感じ、私は少しずつ彼を愛おしく思い始めていた。
そもそも最初の頃、私はヨシアキにあまり関心が無かった。
寂しさと混乱の中にいた私は、誰かに救いを求めていた。
彼とはメル友を募集する目的のサイトで出会った。
内部でメール交換出来るというサイトだった。
とにかく話し相手が欲しかった私は、そこで何人かとやりとりをしていた。
私がサイトに登録してから二日程経った頃、ヨシアキがメールして来た。
年下はうざい?
「元気」というプロフネームの彼は、無邪気に聞いてきた。
早速プロフィールを見てみると、
( 関東住み 34歳 男 )
としかない。
十歳以上年下なんてね・・・。 めんどくさい。
私は悪いと思いながらも、ヨシアキを無視する事にした。
(続く)
大丈夫
明日はミニスカート?
その下は?
どんな事してくれる?
-ばかっ-
私はヨシアキとの前夜のメールのやりとりを思い出していた。
-気持ちが無いと、乗らない・・・-
キスする
それが彼の最後の言葉だった。
-自信があるんでしょうけど・・・
キスであなたの心を探るわ-
私のメールにヨシアキからの返信は無かった。
時計の針は午前零時を回っていた。
キスをしたいとヨシアキはよく言っていた。
キスに自信がある、とも・・・。
失神したやつもいる
自慢げな口調に幼さを感じ、私は少しずつ彼を愛おしく思い始めていた。
そもそも最初の頃、私はヨシアキにあまり関心が無かった。
寂しさと混乱の中にいた私は、誰かに救いを求めていた。
彼とはメル友を募集する目的のサイトで出会った。
内部でメール交換出来るというサイトだった。
とにかく話し相手が欲しかった私は、そこで何人かとやりとりをしていた。
私がサイトに登録してから二日程経った頃、ヨシアキがメールして来た。
年下はうざい?
「元気」というプロフネームの彼は、無邪気に聞いてきた。
早速プロフィールを見てみると、
( 関東住み 34歳 男 )
としかない。
十歳以上年下なんてね・・・。 めんどくさい。
私は悪いと思いながらも、ヨシアキを無視する事にした。
(続く)
[edit]
ミニスカート 3
2011/01/18 Tue. 23:28 [「ミニスカート」]
その頃の私はとにかく落ち着きたかったし、寂しさを紛らわしたかった。
毎日時間を見つけてはPCに向かい、面識の無い相手と話をした。
そうしないと不安だったのだ。
横浜で美容院を経営しているという、年上の男が話を聞いてくれた。
それで、いきなりヘンなメールが来ちゃったわけ?
ダンナと実家のお父さんの携帯に?
-そうなの。実家には電話もかかって来たのよ。
私の男友達の名を名乗って、娘さんはおられますか?って。-
彼は番号知ってたの?
-まさか。 旧姓も教えてないし。
第一、主人や父のメアドを知ってるなんて・・・。
気味悪いでしょう?-
私の実家にはそれ以降もしばらく無言電話が続いた。
電話の主は、おそらく祐樹本人だったに違いない。
恋人に会えなくなって沈んでいた私を、ずっと励ましてくれていた祐樹。
銀行員の彼は、忙しい仕事の合間にメールを送り続けてくれていたのだ。
祐樹の優しさで、少しずつ私も元気になっていた。
そんな矢先の突然の出来事だった・・・。
(続く)
毎日時間を見つけてはPCに向かい、面識の無い相手と話をした。
そうしないと不安だったのだ。
横浜で美容院を経営しているという、年上の男が話を聞いてくれた。
それで、いきなりヘンなメールが来ちゃったわけ?
ダンナと実家のお父さんの携帯に?
-そうなの。実家には電話もかかって来たのよ。
私の男友達の名を名乗って、娘さんはおられますか?って。-
彼は番号知ってたの?
-まさか。 旧姓も教えてないし。
第一、主人や父のメアドを知ってるなんて・・・。
気味悪いでしょう?-
私の実家にはそれ以降もしばらく無言電話が続いた。
電話の主は、おそらく祐樹本人だったに違いない。
恋人に会えなくなって沈んでいた私を、ずっと励ましてくれていた祐樹。
銀行員の彼は、忙しい仕事の合間にメールを送り続けてくれていたのだ。
祐樹の優しさで、少しずつ私も元気になっていた。
そんな矢先の突然の出来事だった・・・。
(続く)
[edit]
ミニスカート 4
2011/01/19 Wed. 23:23 [「ミニスカート」]
ある日の夜遅く、二階の廊下の電話が鳴った。
「はい、もしもし。」 私が出ると、
-もしもし・・・ ミカ?-
実家の母からだった。
時間が遅い事と、不安げな母の声に私は少し緊張した。
「どうしたの?こんな遅くに。」
-誰か近くにいる?-
周囲に誰も居ない事を告げると、母は慎重に切り出した。
-あなた達、夫婦仲はどうなの?-
思ってもみない問いかけだった。私は訳が分からないまま答えた。
「どうって・・・。別に普通だけど・・・。」
結婚十九年目で娘がおり、夫婦の間に大きな喧嘩も無かった。
「何でそんな事聞くの?」
一瞬黙ってから、母は思い切るように言った。
-おかしなメールが来たらしいのよ・・・ お父さんの携帯に。-
まだ何の事か分からなかった私だったが、母の口から出た名前に凍りついた。
-祐樹って人、知ってる?-
祐樹・・・ どうして母が・・・?
「・・・知らないけど?」
私は動揺を抑えながら、出来るだけ勢い良く答えた。
-ほんとね。本当に知らないのね?
お父さんからは、ミカには話すなって言われてるんだけど・・・
心配になって・・・。-
母によれば、数日前父の携帯に届いたメールの中に私と祐樹の親密な会話があったらしいのだ。
父は驚いたが、私には知らせるなと母に言ったそうだ。
ところがその翌朝、今度は祐樹と名乗る男から実家に電話がかかって来た。
「ミカさんはいらっしゃいますか?」
男の話し方はきちんとしていて、声からすると三十歳代後半位だったという。
不在だと母が言うと、私はよく実家に帰るかと聞いてきた。
滅多に帰らないと告げると、そうですかとあっさり切ったそうだ。
それから頻繁に無言電話がかかって来て、母は不安になり私に電話して来たのだった。
どういう事なんだろう・・・。
私の頭の中に、大きな疑惑の渦が巻き始めた。
(続く)
「はい、もしもし。」 私が出ると、
-もしもし・・・ ミカ?-
実家の母からだった。
時間が遅い事と、不安げな母の声に私は少し緊張した。
「どうしたの?こんな遅くに。」
-誰か近くにいる?-
周囲に誰も居ない事を告げると、母は慎重に切り出した。
-あなた達、夫婦仲はどうなの?-
思ってもみない問いかけだった。私は訳が分からないまま答えた。
「どうって・・・。別に普通だけど・・・。」
結婚十九年目で娘がおり、夫婦の間に大きな喧嘩も無かった。
「何でそんな事聞くの?」
一瞬黙ってから、母は思い切るように言った。
-おかしなメールが来たらしいのよ・・・ お父さんの携帯に。-
まだ何の事か分からなかった私だったが、母の口から出た名前に凍りついた。
-祐樹って人、知ってる?-
祐樹・・・ どうして母が・・・?
「・・・知らないけど?」
私は動揺を抑えながら、出来るだけ勢い良く答えた。
-ほんとね。本当に知らないのね?
お父さんからは、ミカには話すなって言われてるんだけど・・・
心配になって・・・。-
母によれば、数日前父の携帯に届いたメールの中に私と祐樹の親密な会話があったらしいのだ。
父は驚いたが、私には知らせるなと母に言ったそうだ。
ところがその翌朝、今度は祐樹と名乗る男から実家に電話がかかって来た。
「ミカさんはいらっしゃいますか?」
男の話し方はきちんとしていて、声からすると三十歳代後半位だったという。
不在だと母が言うと、私はよく実家に帰るかと聞いてきた。
滅多に帰らないと告げると、そうですかとあっさり切ったそうだ。
それから頻繁に無言電話がかかって来て、母は不安になり私に電話して来たのだった。
どういう事なんだろう・・・。
私の頭の中に、大きな疑惑の渦が巻き始めた。
(続く)
[edit]
ミニスカート 5
2011/01/21 Fri. 15:44 [「ミニスカート」]
実家への無言電話は初めのうち、決まって朝の八時前後にかかってきた。
祐樹がいつもメールして来た時間だ。
そのあとは夕方と夜遅く・・・ これも時間が合っていた。
問題のメールが父に送られて来た頃から、祐樹の様子が少しおかしいとは感じていた。
理由も無くメールが途切れる様になっていたからだ。
それまでは毎日欠く事無く、ほぼ決まった時間に届いていた。
それにもう一つ、気になる事があった。
父に送られて来たメールと同じものが、主人のPCにも届いていたかもしれないのだ。
ある時主人が、
「また迷惑メールだ。ユウキって誰だよ・・・。」とぼやきながら、そそくさとそれを削除していた事があった。
気になって見に行くと、既にそのメールは消えていた。
主人は私の名前がある事には気づいていなかった。
祐樹がした事なのだろうか・・・。
でも、何故?
どうやって?
色々考えた末、私は思い切って彼に聞いてみた。
-祐樹、私の実家に電話した?-
何時間後かに返信が届いた。
出来るわけないよ。
番号知らないもん。自宅も実家も。
・・・自宅も知っているという事なのだろうか。
どうしてとか、どうしたとかは無いのかとも思った。
それまでの祐樹なら、心配してあれこれ対策を考えてくれるはずだった・・・。
メールの件も話し、不安症になっているのだと言ってみた。
それから間もなく、祐樹からのメールは完全に途絶えた。
アドレスも変えた様だった。
(続く)
祐樹がいつもメールして来た時間だ。
そのあとは夕方と夜遅く・・・ これも時間が合っていた。
問題のメールが父に送られて来た頃から、祐樹の様子が少しおかしいとは感じていた。
理由も無くメールが途切れる様になっていたからだ。
それまでは毎日欠く事無く、ほぼ決まった時間に届いていた。
それにもう一つ、気になる事があった。
父に送られて来たメールと同じものが、主人のPCにも届いていたかもしれないのだ。
ある時主人が、
「また迷惑メールだ。ユウキって誰だよ・・・。」とぼやきながら、そそくさとそれを削除していた事があった。
気になって見に行くと、既にそのメールは消えていた。
主人は私の名前がある事には気づいていなかった。
祐樹がした事なのだろうか・・・。
でも、何故?
どうやって?
色々考えた末、私は思い切って彼に聞いてみた。
-祐樹、私の実家に電話した?-
何時間後かに返信が届いた。
出来るわけないよ。
番号知らないもん。自宅も実家も。
・・・自宅も知っているという事なのだろうか。
どうしてとか、どうしたとかは無いのかとも思った。
それまでの祐樹なら、心配してあれこれ対策を考えてくれるはずだった・・・。
メールの件も話し、不安症になっているのだと言ってみた。
それから間もなく、祐樹からのメールは完全に途絶えた。
アドレスも変えた様だった。
(続く)
[edit]